監査部で求められる英語力とは？
企業の監査部（Internal Audit 部門）は、組織全体の内部統制やリスク管理、コンプライアンスの遵守状況をチェックし、経営層に重要なフィードバックを提供する役割を担っています。経営陣にとって監査部は「会社の健康診断」を行う部署であり、その役割は年々拡大しています。特にグローバルに事業を展開する企業では、海外子会社や海外工場の監査、海外規制当局への対応、国際基準（IFRS、US GAAP）に基づく監査が必須となり、英語力の有無がキャリアに大きく影響します。
監査業務は単に書類や数字を確認するだけでなく、現地の担当者にインタビューを行い、内部統制の運用状況を理解し、問題点を明確にする必要があります。この際に英語でスムーズに質問・回答ができる力、複雑な専門用語を交えて正確に説明できる力が不可欠です。そのため監査部員にとって英語力は「ツール」ではなく「武器」ともいえる存在です。
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具体的に必要とされる英語力のレベル
- 英語の監査報告書、内部統制マニュアル、国際会計基準の文書を正確に読み解く読解力
- 海外子会社や外国人従業員とのインタビューで相手の意図を理解し、的確に質問できる会話力
- リスク管理やコンプライアンス関連の専門用語を誤解なく使用できる専門英語力
- 経営層、監査委員会、海外の本社や投資家に向けて英語で発表できるプレゼンテーション力
- 英語でのメールや報告書を論理的かつ簡潔にまとめるライティング力
監査業務で使われる英語表現と単語
監査部では、調査や報告の際に繰り返し使うフレーズや用語があります。特に海外の現場に出向いた際や、英語で監査報告を行う場面では、適切な表現を使えるかどうかが監査の信頼性に直結します。以下に代表的な英語表現と単語をまとめます。
よく使う英語表現（実務でそのまま使えるフレーズ）
- Could you provide supporting documents for this transaction?
（この取引の証憑資料を提出いただけますか？） - We identified a potential risk in your internal control process.
（内部統制プロセスに潜在的なリスクを確認しました。） - Our findings suggest improvements are necessary.
（調査結果から改善が必要だと示唆されます。） - Please clarify the approval process for this expense.
（この経費の承認プロセスを明確にしてください。） - This procedure does not appear to comply with regulatory requirements.
（この手続きは規制要件に準拠していないようです。） - We recommend implementing additional monitoring controls.
（追加的なモニタリング統制の導入を推奨します。） - Could you explain the rationale behind this accounting treatment?
（この会計処理の根拠を説明していただけますか？）
監査で頻出する英単語リスト
- Internal control（内部統制）
- Compliance（コンプライアンス）
- Risk assessment（リスク評価）
- Fraud detection（不正検出）
- Audit evidence（監査証拠）
- Material misstatement（重要な虚偽表示）
- Regulatory requirements（規制要件）
- Transparency（透明性）
- Accountability（説明責任）
- Corporate governance（企業統治）
- Sampling method（サンプリング手法）
- Audit trail（監査証跡）
- Segregation of duties（職務分掌）
- Whistleblowing（内部告発）
英語力が監査部でのキャリアに与える影響
監査部門における英語力は、キャリアの選択肢と昇進スピードに直結します。英語ができる監査担当者は、海外子会社の現地監査をリードしたり、外部監査法人との折衝を任されたりすることが多くなります。また国際会計基準や内部統制の枠組みを理解し、それを英語で説明できる人材は社内で貴重な存在となり、経営層との距離も近くなります。
責任範囲の広がり
- 国内限定の内部監査 → 国内の部門や支店の監査業務が中心
- 英語対応可能な監査担当 → 海外子会社の内部監査、国際監査法人とのやり取り、グローバル内部監査チームの一員として活躍
- 英語力＋マネジメント力 → グローバル監査マネージャー、監査部長、海外拠点の監査統括責任者としてキャリアアップ
年収への影響
監査部における年収は英語力と経験値によって大きく変動します。以下は目安です。
- 国内専任の監査担当：年収400万〜600万円程度。日本語での監査業務に特化し、海外案件には関与しないケース。
- 英語での報告・海外対応可能な担当者：年収600万〜900万円程度。海外子会社や外国人従業員とのやり取りを担当し、国際基準に沿った監査を実施。
- グローバル監査マネージャー／監査部長クラス：年収1000万〜1500万円以上。監査チームを統括し、経営層や取締役会への報告を担当。外資系企業ではさらに高額となることもあります。
TOEIC800点以上、あるいは海外赴任経験や英語での監査プロジェクト経験がある場合、国内企業でも外資系企業でも年収アップが期待できます。加えて、CIA（公認内部監査人）やCPA（公認会計士）といった国際資格と英語力を併せ持つ人材は、監査・会計業界で非常に高い市場価値を持ちます。
監査部で役立つ英語学習のアプローチ
監査業務に必要な英語は、日常会話というよりも「ビジネス英語＋専門英語」の領域に近いため、以下のように効率的に学習することが重要です。
- 英語で書かれた内部統制・監査関連の文書を多読し、用語に慣れる
- 実際に使える監査フレーズを暗記し、インタビュー形式で練習する
- 国際監査基準やIFRSに関連する記事を英語で読み、専門表現を蓄積する
- オンライン英会話で「監査業務を想定したロールプレイ」を取り入れる
- CIA試験の英語教材を活用し、試験勉強と英語学習を兼ねる
監査部では今や英語力が「あると便利」ではなく「必須」と言える時代になっています。英語で監査報告を作成し、海外子会社とやり取りし、国際基準に対応できる人材は企業にとって欠かせない存在です。
その結果、責任範囲は国内にとどまらずグローバルに広がり、年収アップやマネジメントポジションへの昇進にも直結します。
もし監査部でキャリアを積むなら、英語力を磨くことは投資であり、将来の大きなリターンにつながるでしょう。
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